四 字 熟 語
波瀾万丈 (はらんばんじょう)
大衆の好む言葉だ。 誰しも自分の人生は波瀾万丈でないほうが望ましいが、それじゃ刺激がなくてつまらない、せめて他人の波瀾万丈ぶりを見て楽しみたい、そんな気持ちかもしれない。浮き沈みが激しい、変化がきわまりない、次から次へと事件などが展開変化して定まらない様子、これが波瀾万丈である。
波瀾万丈の生涯を送った人はその一生が小説やドラマになるし、波瀾万丈の事件は誰もが興味津々で成り行きを見守る。会話でも文章でも広く使われる四字熟語だか、若い人たちは大げさで古めかしい表現ゆえにあまり好まないように思う。
「姓名判断」という各種の本を参考に子供の名づけを考える両親が今でも大勢いるが、親が子に託す人生の希望はけっして波瀾万丈の生き方ではない。平凡で堅実な運勢をベースに、その上に才能が開花し幸運に恵まれる、それが理想だ。なぜ波瀾万丈が敬遠されるかといえば、不安定で劇的すぎるからではないか。
人はみな安定をいちばん望んでいる。