四 字 熟 語
不 言 実 行
日本人好みの言葉である。
あれやこれやと理屈をこねるのはダメ、理屈を言わずに為すべき事を黙ってコツコツ実行する、これが不言実行だが、これまではこういう人が評価されてきた。これからはどうだろう。不言実行も結構だが、有言実行であっても一向に構わない。
大事なことは実行なのだから、理屈をこね言葉が先行したところで実行が伴えば誰しも納得せざるを得ない。有言のくせに実行出来なかったら、これはえらい事だ。ウソつきと批難され、実行力不足を責められるから、実行出来なかった時の反動を考えれば、不言でいるほうが得かも知れない。
『老子』の第43章に、「不言の教え、無為の益、天下これに及ぶこと希なり」という一句がある。直訳すれば、「言葉のない教え、何にもしない行動の価値、天下にこれ以上のものはない」ということだ。なぜここで “不言之教” が出てくるかといえば、理屈だけの学問や口先だけの教えなど何の意味や価値もない、という孔子たちの儒学への否定と批判が、 “不言” の二字で表現されたと思ってよい。