四 字 熟 語
勧善懲悪 (かんぜんちょうあく)
いつの世にも大衆はこれを好む。
悪玉と善玉をはっきり差別し、悪を戒めて善行をすすめる、このパターンはわかりやすくて共感を誘う。大衆美楽の基本はまさにこれ。水戸黄門などは勧善懲悪ドラマの典型で、結末がわかっているからこそ安心して見ることができ、あとに爽快感が残る。時代劇が年配者に受ける理由がここにある。特に日本人は黒白をはっきり区別するドラマが好きなようだ。
しかし最近やや様子がが変わってきた。プロレスですらベビーフェース(善玉)とヒール(悪役)が入り乱れ、悪役が勝っても観客は喜ぶ。悪が滅びて善が勝つワンパターンの単純な展開と結末に飽きてきたにちがいない。現実の世の中が勧善懲悪のルール通りにいかないし、人間を善玉と悪玉の二通りにわけにくい複雑な時代でもあるが、本質的にはどんな人も善悪両面をもち、善人にも悪の一面があり悪人の中にも善のの部分がある、善悪は紙一重、といった人間認識が行きわたってきたのではないか、と思う。
自らを省みれば誰しも思いあたるのではなかろうか。