四 字 熟 語
無 念 無 想
凡人は無我の境地にあこがれる。これを無念無想と言ってもよい。あらゆる雑念を無くし捨て去って、心の中で何事も思わない考えない、この心境である。本来は仏教用語だ。無念とは、私心や妄念を取り去り無我の境地に入った状態であり、無想は心に何も思わないこと。やや時代がかった表現なので、会話ではめったに使わない。
使ったらキザと思われるし、自分でも照れてしまうだろう。 「悩みや迷いがありすぎるので禅寺に行ったんだ。そこで無念無想の境地にひたることが出来てね、お陰でふっきれたよ」 と誰かが告白したとしよう。人は感動するだろうか。感心のフリだけして聞き流してしまう人が大半かも知れない。意外に説得力の無い言葉なのだ。
むしろ時代劇で使われると、これが生きる。特に剣の達人は無念無想の境地で相手にのぞむのを常としたようだ。なぜこの四字熟語を取り上げたかというと、人前では使いにくい言葉でも、自分のためには有用で必要な言葉として、私は無念無想が好きだからである。