水車(すいしゃ)は、川などの水流の力で回転する一種の原動機です。電動機や蒸気機関が普及するまでは、揚水・脱穀・製粉・製糸などに広く使用されていました。現在でも少数ながら水田の揚水用などで見ることができます。揚水用には様々なタイプがあり、有名な物は三連水車などがあります。水流の力により水を水車の横に付けた容器でくみ上げるタイプの物が多く見られます。
日本では、平安時代の天長6年(829年)良峯安世が諸国に灌漑用水車を作らせたとあります。鎌倉時代の『徒然草』には宇治川沿いの住民が水車を造る話が書かれています。室町時代、15世紀に日本へ来た朝鮮通信使の朴瑞生は日本の農村に水揚水車がある事に驚き、製造法を調査し、本国に報告した事が『朝鮮王朝実録』に記述されており、江戸時代の11回朝鮮通信使においても、同様に日本の水車の普及に驚いた事が記述されています。
また、動力水車の使用は江戸時代になってからといわれています。白米を食する習慣の広がりと共に、精米・穀物製粉の為に使用されたが、江戸時代後期には工業的原動力としても部分的に使用されました。
高知県四万十市中村には、観光用ですが現存しており、古き日本の農村風景が偲ばれます。また、水車横の紫陽花・秋桜が風情を添えていました。