四 字 熟 語
熟 読 玩 味
本を読む習慣が薄れたとはいえ、秋の夜長の読書は楽しい。
熟読は疲れるので軽く流し読みする人のほうが最近は多いらしいが、私の学生時代などは、本は熟読玩味すべきものと教えられた。
文章の内容をじっくり考えながら気を入れて読み、著者の意のあるところを汲んで内容をよく味わう。こんな読み方こそ読書の本道というわけだ。
しかし最近のように書籍が氾濫する中では、じっくり読むに値する本は年に数冊しかない。読むだけ時間の無駄というのもあれば、内容が実にいいかげんでひとりよがり、間違いだらけという愚書もあって、とうてい熟読玩味しようなんて気分にはなれない。私だけかと思ったら多くの人がそうであるらしく、このところ活字離れが一層ひどくなったとか。
読書の心得に古来、読書三到というのがあって、声をだして読む「口到」、目をそらさず読む「眼到」、心を散らさず読む「心到」、この三到を守ればおのずと書の真意がわかる、とされたものだ。読書三到にふさわしい本は少なくなった。