四 字 熟 語
前後不覚 (ぜんごふかく)
「昨夜は飲みすぎて前後不覚になっちまったよ」という告白を聞くたびに、そこまで飲まなくてもいいのに、と飲めない私は思う。 酒だけが原因ではないが、人間は前後不覚に陥ることがたまにある。
ひどい睡魔におそわれる、あまりの激痛にのたうちまわる、思いがけぬ大ショックで精神が錯乱し事態がわからなくなるなど、前後の区別や周囲の状況がまるでわからなくなって、正常な判断や普通の見方がほとんど出来なくなってしまう。つまり前後を覚えずの状態はいつ誰に訪れるかわからない。責任の有無は別にして、こういう時は運を天にまかせるしかない。
不覚をとった、というフレーズがある。不覚は目が覚めないこと、悟らないこと。日常会話では、油断して失敗することを不覚というのだが、酒による前後不覚には失敗がつきものだから要注意だ。また、正体を失うというフレーズも、泥酔して正体を失ってしまった、という使い方でわかる通り、酒のイタズラである。