河原文翠の日々是好日

降っても 照っても 日日是好日。泣いても笑っても 今日が一番いい日。

容貌魁偉

         

                                    四 字 熟 語


                                  容貌魁偉 (ようぼうかいい)


真夏はお化けの出番だが、少々の怖い顔でも驚かない子が増えてきた。可愛げないともいえるが、お化けの顔もマンネリで凄みがない。昔は人三化七なんて変な四字熟語があって、人間らしい部分が三分で、化け物の様な部分が七分、容貌すこぶる醜いことの例えだった。歌舞伎のセリフに、「人間三分で化け物七分、人三化七という顔だ。」(梅雨小袖昔八丈)。これ即ちお化け華やかなりしころには使う面白みがあったが、現代は殆ど死語に近い。

 

そこでお化けみたいな顔を形容するのに、今の子供たちはどんな言葉を使うのか見当がつかない。若者に聞いたら、「それは容貌怪異でしょう」と言う。彼らは魁偉でなく怪異と書くが、本来容貌魁偉とは顔や体つきが人並みはずれてでっかくて、堂々と逞しく立派であることをという。お化けとは無縁もいいとこ、魁も偉も共に大きい、立派の意味。

 

醜い、怖い、異様なんてイメージはない。怖いのは、お化けでなく生きてる人間の方だ。お化けは優しくて可愛い、という人も。