四 字 熟 語
悲 憤 慷 慨
自らの不平不満を愚痴ったり、ぼやいたりする程度では、とうてい悲憤慷慨とはいえない。世の中の不正や矛盾を憤り嘆く、自分の運命を悲しみ憤る、こういう時は誰しも興奮気味で感情の起伏が激しく、怒鳴ったり泣いたり夜を徹して論じたり、これが悲憤慷慨である。
慷慨は、世間の不正義不公平など道に外れたことに対して、心が奮い立ち悲しむことだから、やや自己中心の面無きにしも非ずで、悲憤慷慨は得てして共感を得にくく一人相撲になる時が多い。特に自分の仕事や地位や運命については悲憤慷慨も自己本位になるに決まっているから、意地悪く言えば、単なる欲求不満の解消ととられてもしかたがない。
男女を問わず感情豊かな人が酒席などでこういう面を見せる。昔は俗受けしたが、現代では余り流行らないタイプといっていいだろう。
私が聞いた話では、選挙に落ちた途端に悲憤慷慨の士となる政治家が多い。秘書や参謀の無能を恨んだり、有権者の無知を批判するのだが、一方的で誰も同情しないのは当然だ。