四 字 熟 語
慇 懃 無 礼
こういう人は嫌われる。表面はあくまでも丁寧だが、心の中では無礼きわまる、尊大そのもの、これじゃ相手が不愉快になる。高級官僚やお金持ち夫人に典型的なこのタイプが多いが、これを慇懃無礼という。
本人はそのつもりでなくても、丁寧すぎると、かえって無礼になることもあるから、人づきあいは難しい。「あんまり下手にでると、かえって慇懃無礼になるから注意しろよ」などと社員教育で教える上役もいる。
同傾向のお役人を評した四字熟語に面従腹背というのがある。サラリーマン社会でもこの手の危ない部下がいるようだか、表面では服従するように見せかけ内心では背く、反抗する、裏切ってる、こういう連中を一括して面従腹背と称するが、親子や友人知人間ではあまり使われない。日本的な上下関係の中で、昔から今に至るまでこの言葉が生き続けている背景をさぐってみると、封建社会の悪しき名残が感じられ、個人的には慇懃無礼も面従腹背も好きになれない言葉だ。