河原文翠の日々是好日

降っても 照っても 日日是好日。泣いても笑っても 今日が一番いい日。

張り板


                                       昭和のあの頃


                 過ぎ去った遠い日々に、思いを馳せる。
                      それによって、心に喜びを感じさせる。
                      不安なコロナ時代、良かったことを考えながら。


                          その13     張り板


張り板

張り板は、かつてはどこの家庭にも有る洗濯用具の一つであった。

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丸洗いした浴衣や、一旦縫い目をほどいて布地の状態にして洗った着物を、この張り板に張って乾燥させたり糊付けしたりしていた。着物を着る機会が少なくなり、次第に使用されなくなった。

 

張り板は、杉などの一枚板で作られている。板の幅が1尺5寸(約45センチメートル)程度、長さが1間(約180センチメートル)程度で、並幅1尺2寸(約36センチメートル)の着物地が張れる大きさとなっている。

 

縫い目をほどいて洗濯し、糊付けした布地は、また元のように縫い合わせて着物に仕立てていた。洗濯の度毎に着物を調えるようなもので、随分と面倒なことに思われるが、布地は繰り返し大切に使用されていた。 かつて地方では、衣服の簡単な修繕をすることを、洗濯をすると呼んでいたという。確かに、かつての着物の洗濯では、同時に繕いや寸法の修正も可能であった。