河原文翠の日々是好日

降っても 照っても 日日是好日。泣いても笑っても 今日が一番いい日。

栄枯盛衰

  
                                       四 字 熟 語


                                   栄枯盛衰 (えいこせいすい)
                                 

       栄枯盛衰は世の習いとか。 人も会社も例外ではない。
栄えたり衰えたり、繁栄と衰亡は交互にやってくる、これが歴史の流れらしく、この様子を栄枯盛衰という。これは仏教の考え方と思われるが、経典には生者必滅とある。生ある者は必ず死ぬ、この事実は誰も曲げられない。

 

また経典には盛者必衰という四字熟語もあって、これは『平家物語』 の「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」の有名な冒頭でおなじみ。盛んなる者は必ず衰えるという考え方は、栄枯盛衰と共通する。 『平家物語』はこの句の前に、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」。学生時代にはただ読みすごしていたこれらの言葉が、年齢とともに実感を増すのではなかろうか。

 

老荘思想でも、「物壮則老、是謂不道」の一句がある。壮は盛に通ず、壮者必衰といってもいいだろう。また、「兵強則滅、木強則折」という句もあって、これも強なる者、盛なる者がいずれ衰え滅びることを喝破したものである。

 

 

 直情径行

      
                                 四 字 熟 語


                               直情径行 (ちょくじょうけいこう


独断専行とニュアンスは似ている。他人の思惑などおかまいなしに自分の感情のおもむくまま単純な行動に走る、これが直情径行である。必ずしもマイナスの生き方とはいえないが、少なくとも大人の世界では敬遠され評価が低くなる。

 

直情は感情のままにふるまい、思いつきを相手かまわず口に出すことだし、径行は自分の思った通りに直ちに行動することだから、相手にとっては扱いにくい。「彼は直情径行型の人間で憎めない性格だけど、独りよがりで浮き上がっているんだ。もう少し押さえがきいて大人になってくれると、大成するんだが」などと評される。率直さ、飾り気のなさはいいが、感情に走る単純な言動が周りと不協和音を醸し出すのであろう。

 

しかし、と私が最近しみじみ思うのは、現代の若者は元気がないわりにこのタイプが多いのでは? 過保護に育てられたせいか、自己抑制が効かないし忍耐力もない。そこで直情径行に走りがちで、世間ではこれを軽いノリなどとおだてたりする。

 

 

 独断専行

      
                            四 字 熟 語


                           独断専行 (どくだんせんこう


付和雷同も困るが、これも困る。独断は自分だけの考えや判断で勝手に決めること、専行は自分勝手に自分の思う通りに行動すること。独断専行は自分の判断だけで勝手気ままに行動することをいう。つい独断先行と書きがちで、これはこれで意味が通じるが、正しい字は専行だから念のため。

 

「独断専行を厳に慎め」と上司から言われた時、あなたはハイと従うか。もちろんサラリーマンなら従うだろうが、じゃ付和雷同がいいのかといえば、これもダメ。となるとどっちもダメじゃ立場がない、こうなってしまう。その中間がいいのだ、と上司は軽く言うかも知れないが、これも無責任な話と下の者は受け取るだろう。

 

現代では、独断専行のほうにむしろ軍配があがる。独断と偏見はマスゴミの人気を得るコツの一つだし、それは個性的でもある証拠だから、付和雷同よりはこっちのほうがまだ見どころがある。とはいえ、調子に乗ってやたらと独断専行に走ると、周囲に迷惑を及ぼし自分が窮地に陥るからこわい。

 

 

 付和雷同

      
                         四 字 熟 語


                         付和雷同  (ふわらいどう


批判と悪口の典型的なパターンがこの言葉。 「あいつは付和雷同だからダメ」 「付和雷同で大事な一票を入れるな」 「付和雷同型の人間は我が社ではいらん」 などなど、全くいいところが無い。自分に確たる信念がなく、主義主張もあやふやで、ただ無闇に他人の意見に同調し、他人の言動に釣られて動く。これが付和雷同の意味である。

 

付和を不和と書いたらミス、雷同を雷動と書き間違わぬように。意味としては、付和はきまった考えがなくて他人にあわせること、雷同は雷の音に山や谷が鳴り響き万物が応ずることから転じて、深く考えず簡単に他人の節に調子をあわせる、安易に相槌を打つ、こんな感じだ。

 

確かに好ましいこととは思わないが、日本社会は 『みんなで渡れば怖くない』 という風潮が今や定着し、特にサラリーマン社会では協調や妥協が強く求められるから、付和雷同紙一重の生き方が無難で楽でもある。極言すれば、付和雷同は日本人の国民性のようで、マスゴミなんぞは正に付和雷同一色ではないか

 

 

夫唱婦随

     
                                    四 字 熟 語

                                     夫唱婦随 (ふしょうふずい

 

この美風いかに廃れつつあるとはいえ、若者達に□唱婦随の質問をしたところ、不唱婦随の答えがいくつかあった。意味を聞いたら、「文句いわずに妻に従うことが夫婦円満の秘訣ってことでしょう?」。これには笑った。本人がジョークでなく大真面目なだけに、これはパロディの悪影響かな、と思わずにはいられない。マスゴミあたりでも夫と妻を入れ替えて、「婦唱夫随は現代の美徳」なんてやるものだから、紛らわしくて困るではないか。

 

夫唱婦随は、あくまで夫主導による夫婦のありかただ。夫が言い出して妻がそれに従う、これが夫婦仲がよく和合していることの証明であった。かつては、と補足しなければ誤解を招く。近頃の夫婦は、夫が言い出しても妻はそれに従わないし、妻が言い出したことに素直に従う夫も増えてきたらしいし、夫唱婦随を逆転させて婦唱夫随でも、さほど違和感はなくなったらしい。

 

とはいえ見た目からいえば、婦唱夫随は頭でっかちで安定性がない。夫唱婦随の方が座りが良い。さらに言えば、我が日本社会を混乱・破壊させるGHQの策略の一つだと断言するものだ。

 

 

 軽挙妄動

     
                                    四 字 熟 語


                                   軽挙妄動  (けいきょもうどう) 


軽はずみな行動、軽々しい動作、これが軽挙である。 妄動はよく考えもせずみだりに行動することこれは盲動と書きがちだか、盲と妄はえらい違いだ。そこで軽挙妄動だか、事情や状況をよく考えないでいたずらに行動し、軽はずみで向こうみずな行動で破綻を招く、そんな好ましからざる場面で必ず批判の言葉として登場し、「駄目だよ君、軽挙妄動を戒めたまえ」とお叱りがとぶ。

 

若い時分はいざ知らず、いまだにこの傾向がある私なんぞ、その度に後悔と反省の連続だ。ただ軽挙妄動が必ずしも失敗ばかりでなく、時にまぐれ当たりすることもあるだけに、軽挙妄動を否定しきれない面もある。性格だからしようがないかな、と思うことにしている。

 

この反対が熟慮断行だが、事前によく検討し慎重にじっくり考えた上で断固、事に当たること。熟慮しすぎて優柔不断になってはいけないので、断行は実にむずかしい。
私に言わせれば、軽挙妄動も熟慮断行も五十歩百歩、結婚がいい例であるが………。

 

 

一触即発

  
                                       四 字 熟 語


                                   一触即発 (いっしょくそくはつ


これはよく使われる四字熟語だ。ちょっと触っただけですぐにドカンと爆発しそうな、危機や危険に直面している状態、これを一触即発という。A国とB国との対立が一触即発の危機だ、なんて表現はかつて盛んに使われたものだが、この頃は人間関係にこの言葉が当てはまる。

 

嫁と姑がガマンにガマンを重ねてこれまで耐えてきたが、いよいよもうガマンのの限界だ、という時に「ふたりは一触即発だよ。間に入って亭主のオレはもうどうしていいかわからない」。こんな使い方もあれば、熱々の大恋愛で結婚した夫婦が一年かそこらでもう険悪な空気になった様な時にも、「あの夫婦もう一触即発のピンチだってさ、困ったもんだ」と冷やかす。

 

この言葉は響きもいいし、見た目も整っているので文章上も多用される。ちょっとしたキッカケで今にも大事件が起こりそうな緊迫の状況を説明する時に、新聞などマスゴミは一触即発を必ず使うが、いかにもそれが危機をさらに煽るような意図もあって、言葉の怖さを感じずにはしられない。