四 字 熟 語
浅 学 非 才
日本人ほど謙虚を美徳と心得る国民はどうも居ないらしい。
指名されてスピーチに立つ人など、選ばれた以上はかなりのレベルと誰もがわかっているにもかかわらず、「浅学非才(せんがくひさい)の身をかえりみず」本人の方でまずへりくだる。聴衆は誰もそう思っちゃいないし、本人ももとより本気でそう思ってるわけではなく、日本的挨拶のただの枕ことばなのだ。
浅学非才とは学問や知識が未熟でまだまだ不足だという、本来は学者好みの言葉であったが、近頃は一般の人までが使う。授賞式の席上、「浅学非才の身でこのような大賞をを頂き身にあまる光栄」と挨拶している人が居たが、なんとこれがカラオケ大賞だった。シャレにしてもイマイチだ。
学者や文化人なども安易に使うが、必ずしもその場にマッチしない。なぜなら見るからに未熟な人物が自分で言っちゃ、あまりにもその通りでお恥ずかしいからだ。ある程度の業績と実力が認められている学者が自らの学才を謙遜して使うのでなければ、単なる時候の挨拶と変わるところがないのではなかろうか。