四 字 熟 語
興 味 津 々
これには珍談がいくつもある。
大学出のサラリーマンでもうっかり、興味森々と書いてしまう。結構な身分のご婦人が、「興味ツツの出来事でございますわねぇ」などと平然と言う。全国津々浦々という表現がこびりついているため、津々をシンシンでなくツツと覚え込んでしまったのであろう。
興味津々とは、興味が次から次へと湧いてきて尽きないさま。この反対は興味索然で、興味が消え失せて白ける事。この頃は興味しんしんと書く人も多いが、これなら間違いない。
漢字の読みは、とかく思い違いが少なくない。後手にまわる、これをゴテでなくウシロデと読んだり、剣が峰をケンガ峰でなくツルギカ峰と誤読したり、ついつい引っかかる例がある。薬局に来る客の十人に八人は、解熱剤を買いにきながら「カイネツ剤ください」と言うとか。これを責めるのは今や酷というもの。
漢字名の商品にはこういう珍談がつきまとい、錦卵をキンタマゴ、金地金をキンチキン、喘息をタンソク、心太をシンタ、田作をタゴサクと読む客が結構居るそうな。