心機一転 (しんきいってん)
っ
人は何かのキッカケで気持ちや心の動きがガラリと変わる。
失恋が動機で勉強に打ちこむ、部下の裏切りをキッカケに事業に専心、会社を再建させるなど、受けたマイナスをブラスに転じる場合などは、心機一転という表現がぴったりである。
心気一転と書きたくなるが、ここは機でなくては意味が通じない。そこで、「心機一転、一から出直すことに決めた」という具合に、前向きの方向で使うのは良いが、「心機一転、彼は悪の道に踏み込んだ」とか、「親の死を契機に、心機一転あいつはホームレスの仲間入りした」などと後ろ向きの使用例はどうも感心しない。
この四字熟語は陽性で明るい希望のイメージだから、前向きに気持ちを入れ替えないと、心機一転とはいいにくい。夫婦喧嘩のあと、「雨降って地固まる。我々の夫婦も心機一転やりなおそう」。これは前進だからおかしくないが、「不倫は許せません。心機一転別れることに決めました」というのは後退で暗いから、しっくりこない。こういう使い方をしたら笑われそうだ。