四 字 熟 語
色即是空 (しきそくぜくう)
言葉は有名たが、なにしろ仏教の思想だから意味は難しい。うわべの解釈だけにしておくと、普通「色即是空、空即是色」と対句ような形で用いられ、色即是空とは全て形のあるもの、物質的なものはその本質がみな実体がなく空である、空しい存在であるということ。
反対に空即是色は、宇宙万物すべて本質においては実体がなく空であるが、その空であり実体がないこと自体がそのまま目に映る一切の事物である、こういうややこしい理屈になる。仏教用語だけに、空をソラ、色はイロという単純な意味に取ると全くトンチンカンになって日本語だって使いこなせないのに、外国人用にこれを翻訳するのは至難である。
我が国の実力政治家がアメリカ人記者団に、難しい日米交渉にのぞむにあたっての心境を聞かれ、「色即是空」とやった。通訳がどう訳していいのかとまどっているので、その実力政治家が横から助け船を出し、色即是空を記者団にズバリ訳してみせた。
「カラー・イズ・ザ・スカイ」。あまりの直訳に座はいっそう混乱してしまったとの実話があるとの由。