四 字 熟 語
月 下 氷 人
若者の間ではもう死語だし、日常会話でもあまり使われない。男女の縁を取り持つ人を月下氷人というのだが、仲人、媒酌人といったほうが話が早い。私の若いころ以前は、「社長、ひとつ私のために月下氷人の労をとっていただきたく」などと頭を下げる話が多かったものだが、今は月下美人(花の名)のほうがポピュラーである。
月下氷人はもともと月下老と氷上人という、両者とも縁結びの神の名を合成して作った言葉。唐の一青年が旅先で月光のもと読書にふける老人に出会った。老人は大きな袋にもたれていたが、その中にある赤い縄を見せ、この縄で男女の足をつなげば夫婦の絆ができる、と聞かされた故事が月下老の由来。
一方、氷上人は、晋のころ、氷の上に立って氷の下にいる人と話をしたことが、氷下の陰と氷上の陽を結びつける前兆だという占いの通り、この人はのちに太守の息子の結婚の仲だちをしたという故事による。こういう中国の故事来歴などは現代では殆ど通用しない。