河原文翠の日々是好日

降っても 照っても 日日是好日。泣いても笑っても 今日が一番いい日。

弊衣破帽


                                         四 字 熟 語


                                             弊 衣 破 帽
                                 

ばんからスタイルといっても若者には想像もつくまい。年配者が郷愁を感じる程度で、今や死語同然。簡単に言えば、ボロボロの衣服と破れた帽子が弊衣破帽であり、身なりに構わない例え、その昔の旧制高校の学生が好んだスタイルだ。

 

私の父の高校時代の写真には、下駄ばきで腰に手拭いをぶら下げた貧乏学生姿が見かけられるが、昭和30年代前半には弊衣破帽は完全に消えていたような気がする。
昨今、大学の受験風景を見ていると、受験生のいかにお洒落になったことか。ママと同伴で休憩時間にくつろいでいる図はまさに隔世の感がある。

 

受験は心細いから親の付き添いもまあ認めるとして、入学式、卒業式、入社式などにもくっついてくる母親がいる。こうなると親が楽しんでいる感じだが、子供の方が母親の同伴を拒否しないのが不思議だ。少なくとも弊衣破帽華やかなりしころは、母親と連れだって歩くことすら学生たちはしなかったと伝え聞く。照れもあったが、独立心の顕れでもあった、と思いたい。