四 字 熟 語
鶏 口 牛 後
有名な支那の故事「むしろ鶏口となるも牛後となるなかれ」を四字熟語にしたのがこれである。鶏の頭の方が牛の尻よりマシだ、大企業の下っぱ平社員に甘んずるより中小企業の社長の方が生きがいがある、というような意味で鶏口牛後は今でも考え方や会話の中に生きている。
牛後を牛のしっぽ、または牛の尻のアナと解説する本もあるが、しょせん大きなものにくっついていちゃ浮かばれない、そんなつまらぬ存在より思い切って小集団でいい、その先頭に立って活躍した方がいいじゃないか、という処世の法である。
現代人はかなりちがう。寄らば大樹の陰だ。「にわとりはつらい、牛のしっぽ方がラク」というのが若者たちの実感だし、「社長は苦労が多いからイヤだね。ヒラ取りが一番いい」これもサラリーマンの平均的願望らしい。とすれば牛後すなわち万年平社員はやっぱり落ちこぼれみたいで敬遠される。さしずめ牛の胴体の一部が一番居心地がいい、というところだろうか。