河原文翠の日々是好日

降っても 照っても 日日是好日。泣いても笑っても 今日が一番いい日。

清濁併呑


                                     四 字 熟 語


                                          清 濁 併 呑


このごろは四字熟語としてよりも、「清濁あわせのむ」という表現のほうがポピュラーだ。説明するまでもなく、清いことも濁ったこともどちらも同じように広い心で受け入れるというわけで、転じて度量が大きく包容力のある例えに使われる。

 

世に大人物といわれる人は皆この傾向があって、「あの人は偉いね、清濁あわせのむところは流石だ」と感心され、本人もまた、「わしの胃袋は大きい、ご馳走も残飯も何でも入る」などと豪快に笑うが、意地悪な見方をすれば、濁ったやつをうまく使いこなすことが大物の大物たる所以ということになる。清い人だけを選んで付き合うようじゃとても出世は出来ませんよ、という裏読みも出来るだろう。

 

人生はたしかに清いことばかりではないし、清潔な人ばかりでもないから、濁ったこともたまには受け入れ、濁った人とも我慢して付き合わなければいけないが、清濁併呑の処世術は口でいうほど簡単ではない。度量の大きさは時として正義感や潔癖感に目をつぶることにもなるから、普通の人にはこういう芸当は難しい。

 

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