四 字 熟 語
明 鏡 止 水
明鏡は曇りのない鏡のこと、止水は止まって澄んでいる水のこと、どちらも漢籍からきた言葉であるが、これを続けて明鏡止水という四字熟語にすれば、心にわだかまりや邪念がなく澄みきって静かな心境のことをいう。さしずめ座禅を組めば、「明鏡止水の心境」にひたれるかも………。
かつては文字通り一点のやましいこともない澄んで清らかな心境の持ち主のみ、この言葉を使ったものだが、最近では様変わり、都合の悪いことやよからぬことが発覚したあと問い詰められて、「わしは潔白だ。明鏡止水の心境さ。ハッハッ……」ととぼける政治家が増えたので、明鏡止水も権威がなくなってしまった。まして鏡も曇りがち水も濁りがちの現代では、こういう大げさな表現は益々使用効果が失われていくだろう。
余談だが、昔我が国では、「刀は武士の魂、鏡は女の魂」といわれた。鏡の手入れが悪いようならその女性の精神状態にも乱れがあるというわけで、「鏡が曇ると魂が曇る」という古い諺もあるくらいだ。