河原文翠の日々是好日

降っても 照っても 日日是好日。泣いても笑っても 今日が一番いい日。

DDT


                                       昭和のあの頃


                  過ぎ去った遠い日々に、思いを馳せる。
                       それによって、心に喜びを感じさせる。
                       不安なコロナ時代、良かったことを考えながら。


                          その29      D D T

f:id:bkawahara:20210419105124j:plain

DDT(ディー・ディー・ティー)とは、有機塩素系の殺虫剤、農薬である。日本では1971年(昭和46年)5月に農薬登録が失効した
1873年オーストリアの化学者オトマール・ツァイドラーによって初めて合成された。それから長きにわたって放置されてきたが、1939年にスイスの科学者にしてガイギー社の技師、パウル・ヘルマン・ミュラーによって殺虫効果が発見された。彼はこの功績によって1948年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。

 

日本では、戦争直後の衛生状況の悪い時代、アメリカ軍が持ち込んだDDTによる、シラミなどの防疫対策として初めて用いられた。外地からの引揚者や、一般の児童の頭髪に粉状の薬剤を浴びせる防除風景は、ニュース映画として配給された。また、米軍機から市街地に空中撒布することもあった。衛生状態が改善した後は、農業用の殺虫剤として利用された。

 

現在、DDTは農薬としては使われていませんが、マラリアの感染対策のためにハマダラ蚊の防除に限って使用が認められています。現在、日本や先進国でDDTの製造や使用はしていません。しかし、アフリカやアジア、中南米などの国々では、ハマダラ蚊によって伝染するマラリアの疾患が問題です。そのハマダラ蚊防除にDDTが高い効果があり、また経済性の点からも替わるものがないため現在も制限を設けて使用しています。

 

私が小学生だった頃、頭髪が真っ白になるほど学校でDDTなどの噴霧がなされていたことを思い出す。厄介なのは、一度環境に出されたDDTなどの残留性有機汚染物質は、半減期が長いので、食物連鎖を通じて魚や肉などに残留し、いまだに人の血液中から検出されることである。
「史上最悪の農薬は、史上最強の救世主だった。」と云われています。