河原文翠の日々是好日

降っても 照っても 日日是好日。泣いても笑っても 今日が一番いい日。

『君の名は』


                                       昭和のあの頃


                   過ぎ去った遠い日々に、思いを馳せる。
                        それによって、心に喜びを感じさせる。
                        不安なコロナ時代、良かったことを考えながら。


                     その23         君の名は


  「忘却とは忘れ去ることなり。 忘れえずして忘却を願う心の悲しさよ。」

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すれ違いの悲恋を物語の縦糸にして、戦後の社会が生んださまざまな問題を緯糸に織り込んだことで、戦後の荒波を独りで生き抜いてきた大勢の女性たちから共感を呼び、放送時間には銭湯の女風呂が空になると言われたほど人気があった。番組は映画、出版、観光などさまざまな分野を巻き込む例のない展開を見せ、「君の名は」ブームが起こった。ラジオドラマ黄金時代の伝説的番組である。

 

菊田一夫氏脚本の『君の名は』は1952年にラジオドラマとして放送された、終戦からその後の時代を描いたメロドラマである。当時、「忘却とは忘れ去ることなり…」というナレーションでドラマが始まると、女性たちはラジオの前に集まり、その時間帯の風呂屋がガラガラになったと伝えられています。と言われたほど、多くの女性たちの心を掴んでいたらしい。1953年〜54年には岸惠子主演で全3部作で映画化され、ヒロイン・真知子のストールの巻き方は「真知子巻き」として大流行。昭和29年の映画で主人公を演じた岸恵子さん、佐田啓二さんは雲仙地獄でロケを行い、岸恵子さんが手をついた岩は主人公の名をとって「真知子岩と名付けられ、碑も建てられています。