河原文翠の日々是好日

降っても 照っても 日日是好日。泣いても笑っても 今日が一番いい日。

蚊遣り

 

                                  昭和のあの頃


                     過ぎ去った遠い日々に、思いを馳せる。
                          それによって、心に喜びを感じさせる。
                          不安なコロナ時代、良かったことを考えながら。

 

                 

                               その9  蚊遣り

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蚊遣器(かやりき)は、蚊取線香を安定して燃焼させ灰の飛散を防いで後処理を容易にする道具。端的には蚊取り線香用の灰皿である。夏の風物詩の一つ。

蚊を積極的に駆除する製品が蚊取り線香のみであった時代には重要な役割を果たしていたが、電気蚊取の普及以降は蚊取り線香と共に一般家庭における役割を縮小しており、実用品として利用される機会は少なくなったものの工芸品として現在も製作販売されている。

 

蚊遣豚
豚を模った陶製の「蚊遣豚(かやりぶた)」は蚊遣器の代表的な形状の一つであり、三重県四日市市の萬古焼のものなどが有名である。
蚊遣器の形状にブタが用いられるようになった理由には諸説ある。歴史的には蚊取り線香が発明される以前の江戸時代の武家屋敷より徳利を横向きにして豚の形に見立てた陶器が発掘されており、もともと野外で蚊よけのために壺に草木を入れて燻す習慣が存在し、壺が横型になって豚の形にデフォルメされるようになったともいわれる。

三丁目の夕日にも取り上げられており、そこでは養豚場で蚊よけに円筒状の土管のような器を使用していたのが、その煙を少しずつ出すように口が小さくなっていき、製品化する過程において豚の形に変化したという説が挙げられている。大正4年の新聞広告に蚊遣豚が登場していることから、明治時代に考えられたとも説明されている。

このほか野生の豚(イノシシ)を火伏の神様とする信仰があったという説やブタは毛におおわれていて蚊に刺されにくいと考えられたためという説もある。なお今日では、線香を用いない電気蚊取においても、本体を豚の形に模した製品が販売されている