河原文翠の日々是好日

降っても 照っても 日日是好日。泣いても笑っても 今日が一番いい日。

懐かしき「昭和」-15


懐かしき「昭和」-15


いかけや


鋳掛屋(いかけや、)とは、鋳掛を行う職人のこと。鋳造された鍋、釜などの鋳物製品の修理・修繕を行う職業。語源は金属を「鋳て」(溶かして)「かける」から「いかけや」である。

 

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町中や村々を呼び巡り、声をかけられたら仕事をした。道具箱のなかにふいごを持参しているのが普通であった。融点の低い鋳鉄で鋳造された当時の鍋・釜の穴やひび割れを直すために鋳鉄片を溶融しうるだけの熱量は、この程度の簡易な装備でも確保しえたのである。

 

明治、大正時代までは鍋・釜の品質が向上しなかったので鋳掛屋商売も成り立っていたが、昭和期に入ると近代工業で大量生産されたプレス成型のアルミ鍋等が流通するようになり、これらは流しの鋳掛屋が簡単に補修できるものではなく、また価格の下落により敢えて修理する必要も感じられなくなり、急速に廃れてゆくことになる。ただし、鋳掛の技術そのものは現在でも必要とされ、小型の鐘、大釜などを片手間に鋳掛ける鋳造業者もある。