河原文翠の日々是好日

降っても 照っても 日日是好日。泣いても笑っても 今日が一番いい日。

「ご譲位の日」

04/30   今日は「ご譲位の日」です。

今上陛下は、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来られました。その模索の中から、象徴天皇の道を、国民の幸せや平和を祈ると同時に、積極的に人々の傍らに身を置き喜び苦しみに心を寄せることにあると思い定め、全身全霊を傾けてその実践に努めてこられたのであります。

平成23年3月11日に東日本を襲った未曾有の大災害に際して、両陛下は7週間連続して自衛隊機とヘリコプターを乗り継いでのお見舞い行脚を続けられました。避難所で、膝をついて一人一人丁寧に見舞われる姿、がれきの山と化した街並みに黙祷される姿、ヘリコプターから眼下に広がる無残な津波の傷跡を悲痛な面持ちで見入られる姿、同時に人々の身の上を案じられる両陛下と、立ち直ろうという気持ちでそれに応える被災者との心の交流は「平成を象徴する」感慨深い想い出の一つであります。

被災者のお見舞いに限らず、陛下と国民の関係は、一人一人の喜び悲しみに心を通わされ、その積み重ねの先に国民全体がある、そういうお気持ちに幾度も感激したものです。
在位中では最後となった昨年の全国戦没者追悼式にて、陛下は「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」というくだりを加えられました。戦前の73年が何度かの戦争を経たのに対し、戦後の73年は戦なき世でありました。さらに言えば、平成時代は明治以降、日本が干戈(かんか)を交えなかった唯一の時代として記憶されることになるでしょう。戦後そして平成の平和を後の世にもしっかりと引き継いでほしいという、万感の思いをこめたお言葉だったように思います。

ご譲位は、突き詰めていえば、全身全霊を傾けてお務めを果たすという象徴天皇の在り方と、ご高齢に伴う体力面などの避けられない制約の二つを前提に、いかに円滑に皇位を引き継いでいくかという命題だと思われます。「令和」の時代を迎え、改めて将来にわたって国民から敬愛される皇室、国民の心の支えとなる皇室であり続けてほしいと願うものです。民主主義はともすると「自分さえ良ければ」「自分の国さえ良ければ」という思考に堕する危うさを内包していることを考えると、政治的な思惑や利害を超えて人々のために祈り活動される公平無私な存在が、一層重要に思えるのです。

天皇皇后両陛下、ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。出来ますれば、京都御所にて静かにおくつろぎ下さい。 深謝!!!

 

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