昭和のあの頃
過ぎ去った遠い日々に、思いを馳せる。
それによって、心に喜びを感じさせる。
不安なコロナ時代、良かったことを考えながら。
その28 旅芸人
旅芸人(たびげいにん、英: itinerant performer)とは、旅をしながら芸をする芸人、またはそれを行う事で金銭を得、生計を立てている人。
日本各地を旅し、芸を見せて身を立てる芸能者。演劇や大道芸などさまざまな種類があるが、巡業する大衆演劇を「旅役者」とか「旅の一座」という。基本的に拠点を持たず、九州、関西、関東などと全国を回り、1カ所に1、2カ月単位で滞在し、各地の芝居小屋や公共施設などで公演する。内容は新劇や歌舞伎を中心とした演劇が多い。舞台上の華やかさにくらべて地道な生活を送る人たちが大半を占めるが、なかにはテレビに出演するようなスターもいる。
身分制度の厳しかった江戸時代において、芸人は蔑まされる存在ではあったが、旅の制約のあった一般庶民と違い、旅芸人は関所手形を持っていなくても、芸を見せて芸人であることを証明できれば、関所を通過することができた。定住を基本とする共同体においては、旅芸人のような漂泊する者は異端であり、そうしたマレビトの来訪は、神であり乞食の来訪として、畏敬と侮蔑がない交ぜとなった感情を生じさせた。明治以降も旅芸人は季節の折節に村々に現れては芸能を見せ、日本人の暮らしの季節感を彩る存在だった。